婚姻費用を請求されたら?支払い義務と決定後の減額交渉のポイント

婚姻費用とは、夫婦が別居した際に生活費を分担するために支払われる費用のことです。
(家庭内別居のようなケースでも問題になり得ます)。
しかし、請求された金額が高すぎると感じたり、経済的に支払いが厳しいと考えたりする場合もあるでしょう。
この記事では、婚姻費用の支払い義務と、決定後の減額交渉のポイントについて解説します。
この記事で分かること
・婚姻費用についてわかる
・婚姻費用の相場についてわかる
・婚姻費用が決定した後に減額される場合についてわかる
・減額交渉のポイントについてわかる
婚姻費用とは?
婚姻費用とは、夫婦が婚姻関係を維持するために必要な生活費のことを指します。
特に別居中の夫婦においては、収入の多い側が収入の少ない側に対して、生活費や子どもの養育費を分担する義務があります。この婚姻費用は、民法第760条に基づき、夫婦間で公平に負担されるべきものとされています。
婚姻費用の具体的な金額は、夫婦の収入や生活状況によって異なりますが、裁判所が用いる「婚姻費用算定表」を参考に決定されることが一般的です。支払う側にとっては負担が大きい場合もあるため、適正な金額での合意や、減額交渉のポイントを知っておくことが重要です。
裁判所『平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について』平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所(令和7年3月12日)
婚姻費用の支払い義務とは?
特に別居中の夫婦の場合、収入の多い側が、収入の少ない側に対して適切な生活費を負担することが一般的です。また、離婚前の場合は未成熟子の養育費も含みます。
また、任意で支払われない場合、調停や審判などで取り決めることもできます。
しかし、婚姻費用の決定後、後記のような事情がある場合は、減額の余地があることを知っておくことが重要です。
婚姻費用を勝手に支払わなかった場合
ちなみに、婚姻費用に関する調停や審判を経て、婚姻費用の支払いが義務付けられているにもかかわらず、一方的に支払いを停止した場合には、強制執行の可能性があります。
婚姻費用の支払い義務が確定しているにもかかわらず、支払わない場合、相手方は給与や銀行口座の差し押さえを求めることができます。
支払う側が経済的に厳しい場合は、一方的に支払いを停止するのではなく、調停や弁護士を通じて減額交渉を行うことが望ましいです。
婚姻費用が減額される場合の例
下記のような事情がある場合には、婚姻費用が減額される場合があります。
・請求額が過大である(算定表を基に妥当な額を確認)
・支払う側の収入が減少した(失業や給与カットなど)
・受け取る側に十分な収入がある(仕事をしている、実家の援助があるなど)
・支払う側に特別な支出がある(ローンや医療費などの負担が大きい)
・別居の原因が受け取る側にある(不貞行為やDVなど。有責の場合、当該有責配偶者に婚姻費用を支払う必要がありません)
婚姻費用の減額交渉のポイント
1 適正な婚姻費用を知る
婚姻費用は、裁判所の婚姻費用算定表を基準に決められることが多いです。しかし、相手が請求する金額がこの基準を超えている場合、妥当な金額を提示して交渉することが可能です。
2 収入減少や支出増加を証明する
減額を主張するには、客観的な証拠を用意することが重要です。
・給与明細・源泉徴収票(収入の減少を示す)
・支出明細や領収書(住宅ローン・医療費・学費などの負担)
・失業証明書や休職証明書(現在の経済状況を証明)
3 任意交渉での解決
婚姻費用の減額は、まず相手と話し合いをすることが考えられます。調停や裁判になると時間と費用がかかるため、まずは適正な金額を示して任意交渉を行うことが望ましいといえます。
相手に連絡をすることが難しい場合は。交渉段階から、まずは弁護士に依頼してみましょう。
4 調停を申し立てる
話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所に婚姻費用の減額調停を申し立てることができます。
・収入の変動があった場合
・支払額が過大であると考えられる場合
・相手が話し合いに応じない場合
調停では、裁判所が両者の状況を考慮し、公平な金額を決定します。
5 審判に移行する
調停が不成立となった場合、家庭裁判所は職権で審判手続きに移行します。審判では、裁判官が双方の収入状況や生活費の必要性を考慮し、適切な婚姻費用の額を決定します。審判で決定された金額には法的拘束力があり、これに従う義務が生じます。
6 審判結果に対する不服申立て
審判の内容に納得がいかない場合、審判書の送達を受けてから2週間以内に即時抗告をすることができます。即時抗告が認められた場合、高等裁判所が再度判断を下すことになります。
まとめ
婚姻費用の請求を受けた場合、支払う義務はありますが、状況によっては減額交渉が可能です。
・婚姻費用算定表を確認し、適正な額を知る
・収入や支出の状況を整理し、証拠を準備する
・まずは話し合いを行い、合意を目指す
・解決しない場合は家庭裁判所に調停を申し立てる
支払額に納得できない場合は、早めに専門家に相談し、適正な金額での解決を目指しましょう。
なお、当事者間で合意してしまった場合、その金額をあとから覆すことはまず難しいので、安易に合意するのではなく、相手の請求に疑問を持たれたら必ず専門家に相談しましょう。
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