女性側の離婚相談強化中!

専業主婦でも夫の財産の半分をもらえる?高収入の夫と離婚する場合の財産分与

専業主婦が家事をしながら高収入の夫との離婚や財産分与について考える場面のイラスト

専業主婦でも夫の財産の半分をもらえる?高収入の夫と離婚する場合の財産分与

「私は専業主婦で収入がないため、離婚しても財産をほとんど受け取れないのではないか」

「自宅も預貯金もすべて夫名義なので、私には何の権利もないのではないか」

このような不安を抱えている方は少なくありません。

しかし、専業主婦であっても、婚姻中に夫婦の協力によって形成・維持された財産については、原則として2分の1の割合による財産分与を受けることができます。妻が家事や育児を担当し、夫が仕事に専念できる環境を支えてきたことも、財産形成への重要な貢献だからです。

ただし、「夫が持っている財産をすべて合計し、その半分を受け取れる」という意味ではありません。婚姻前から夫が所有していた財産や、相続・贈与によって取得した財産は原則として除外されます。また、住宅ローンなどの負債、妻名義の財産、財産の評価額なども考慮しなければなりません。

本記事では、専業主婦が高収入の夫と離婚する場合の財産分与について、対象となる財産、2分の1ルールの意味、例外的に割合が修正される場合、退職金や年金の取扱いなどを解説します。

離婚問題のご相談について|P&M法律事務所

目次

財産分与とは

婚姻中に形成した財産を公平に清算する制度

財産分与とは、離婚に際し、夫婦が婚姻中に協力して取得・維持した財産を公平に分ける制度です。

財産分与には、一般に、次の3つの要素があると説明されています。

  • 婚姻中に形成した財産を清算する「清算的財産分与」
  • 離婚後の生活を補う「扶養的財産分与」
  • 離婚による精神的苦痛を考慮する「慰謝料的財産分与」

もっとも、実務上の中心となるのは、婚姻中に夫婦の協力によって形成・維持した財産を分ける清算的財産分与です。

民法768条3項は、家庭裁判所が、婚姻中に取得・維持した財産の額、各当事者の寄与の程度、婚姻期間、婚姻中の生活水準、協力・扶助の状況、年齢、心身の状況、職業、収入その他一切の事情を考慮して、分与の額や方法を定めるとしています。

専業主婦の家事や育児も財産形成への「寄与」になる

財産分与における貢献は、給与を得る仕事だけに限られません。家事、育児、介護、夫の仕事の補助なども含まれます。

例えば、夫が会社員や医師、経営者として高収入を得ていたとしても、その間、妻が家事や育児を引き受け、家庭生活を支えていたのであれば、その協力があったからこそ、夫が仕事を続け、財産を形成できたと評価できます。

したがって、妻に収入がなかったことだけを理由として、財産分与を受けられなくなるわけではありません。自宅や預貯金が夫の単独名義であっても、婚姻中の収入を原資として形成されたものであれば、財産分与の対象となる可能性があります。

「夫の財産の半分をもらえる」の正しい意味

夫名義の財産すべてが対象になるわけではない

財産分与では、財産の名義だけで対象かどうかを判断するわけではありません。

重要なのは、その財産が、いつ、どのような資金を使って取得され、夫婦がどのように形成・維持してきたかという点です。

婚姻中に夫婦の協力によって形成した実質的共有財産であれば、夫名義でも財産分与の対象となり得ます。反対に、夫名義の財産であっても、婚姻前から所有していた財産などは、原則として対象になりません。

財産分与の対象となり得るものとして、代表的には次の財産があります。

  • 預貯金
  • 自宅、収益不動産その他の不動産
  • 株式、投資信託、債券などの有価証券
  • 生命保険や学資保険の解約返戻金
  • 自動車
  • 退職金
  • 企業年金
  • 暗号資産
  • 婚姻中に形成された事業用資産や非上場株式

名義が夫、妻、子どものいずれであるかだけで結論は決まりません。子ども名義の預金でも、実質的には夫婦の収入を移しただけであれば、夫婦の財産と判断されることがあります。

夫婦双方の財産と負債を確認して計算する

財産分与は、夫の財産だけを合計して半分にするものではありません。夫婦双方が保有する対象財産を確認し、住宅ローンなどの関連する負債を考慮したうえで、それぞれの取得額が公平になるよう調整します。

例えば、財産分与の対象となる財産が次のとおりだったとします。

  • 夫名義の自宅、預貯金、保険などの合計 3,000万円
  • 妻名義の預貯金 200万円
  • 住宅ローン残高 1,000万円

単純化すると、夫婦の純資産は2,200万円です。寄与割合を2分の1とすれば、それぞれが取得すべき額は1,100万円となります。

妻はすでに200万円を保有しているため、夫から妻に支払われる財産分与額の目安は900万円です。

ただし、実際には、住宅ローンをどのように評価するか、自宅を誰が取得するか、不動産の売却費用や税金を考慮するかなど、個別の検討が必要です。

専業主婦の寄与割合は原則として2分の1

改正民法でも2分の1が原則とされている

現在の民法768条3項は、財産の取得・維持について、夫婦の寄与の程度が異なることが明らかでない場合には、その寄与を相等しいものとすると定めています。

そのため、夫が主として収入を得て、妻が専業主婦として家事や育児を担当していた場合でも、原則として2分の1ずつに分けることが基本となります。

夫が「自分が稼いだお金だから全部自分のものだ」と主張しても、それだけで夫の主張が認められるわけではありません。妻の家事・育児等による協力も含めて、夫婦が共同で財産を形成したと評価されるからです。

夫が高収入であるだけでは割合は変わらない

夫の年収が高いことだけを理由として、当然に夫の寄与割合が大きくなるわけではありません。

医師、会社経営者、士業、投資家など、夫が高収入である家庭でも、その収入によって婚姻中に形成された財産については、まず2分の1が出発点となります。

また、妻が家事代行やベビーシッターを利用していたとしても、それだけで妻の寄与が否定されるわけではありません。家事・育児の実態、夫婦の役割分担、婚姻期間、財産形成の経緯などを総合的に検討する必要があります。

例外的に2分の1から修正されることもある

もっとも、2分の1は、どのような場合にも変更されない絶対的な割合ではありません。

大阪高等裁判所平成26年3月13日判決では、医師である夫について、婚姻前から医師資格を取得するために努力し、婚姻後もその資格や技能を用いて多額の収入を得るために多くの労力を費やしたことなどを考慮し、夫6割、妻4割の寄与割合が認められました。

ただし、この裁判例も、「高収入なら常に6対4になる」と判断したものではありません。高収入の基礎となる特殊な資格・技能がいつ、どのように形成されたか、婚姻後の財産形成に夫婦がそれぞれどのように関与したかなどが個別に検討されています。

したがって、2分の1から割合を変更するためには、単なる収入差ではなく、具体的な事情と証拠が必要です。

財産分与の対象外となる特有財産

婚姻前財産や相続・贈与財産は原則として対象外

次のような財産は「特有財産」と呼ばれ、原則として財産分与の対象にはなりません。

  • 夫が婚姻前から持っていた預貯金
  • 婚姻前に購入した不動産
  • 婚姻中に相続した財産
  • 親族などから個人的に贈与された財産
  • 社会通念上、個人専用と考えられる衣類や装身具

ただし、婚姻前の預金と婚姻後の収入が同じ口座で長期間混在している場合には、どこまでが特有財産であるかが争われることがあります。

特有財産であることを主張する側は、婚姻時の通帳、取引履歴、遺産分割協議書、贈与契約書などによって、その取得時期や原資を説明する必要があります。

特有財産の維持・増加に妻が貢献した場合

財産自体は夫の特有財産であっても、妻の協力によってその価値が維持・増加した場合には、その貢献が財産分与において考慮される可能性があります。

例えば、夫が婚姻前から経営していた会社について、妻が無償又は低額の給与で長期間業務を手伝い、会社の価値を増加させた場合などです。

もっとも、特有財産の価値が増えたというだけで、増加部分が当然に折半されるわけではありません。市場価格の上昇によるものか、夫自身の努力によるものか、妻の協力によるものかを具体的に検討する必要があります。

高収入の夫との離婚で見落としやすい財産

退職金も財産分与の対象となる場合がある

退職金は、長年の労働に対する後払いの賃金という性質があるため、婚姻期間に対応する部分について財産分与の対象となることがあります。

すでに退職金が支給され、預貯金として残っている場合だけでなく、将来受け取る退職金についても、退職金が支給される可能性、退職までの期間、勤務先の規定などによっては対象となり得ます。

算定方法としては、基準時に自己都合退職したと仮定した場合の退職金額を基礎とする方法や、将来の退職時に実際に受け取った金額のうち一定割合を支払う方法などがあります。

ただし、婚姻前の勤続期間や、別居後の勤続期間に対応する部分は、原則として除外又は調整する必要があります。

非上場株式や事業用財産にも注意が必要

夫が会社経営者である場合、個人名義の預貯金だけを確認しても、財産の全体像を把握できないことがあります。

夫が保有する非上場株式には、会社の不動産、預貯金、保険、有価証券、借入金、収益力などが反映されます。決算書上の純資産額をそのまま株式の価値とすることが適切とは限らず、不動産の含み益や役員貸付金などを検討しなければならない場合もあります。

ただし、会社名義の財産は会社の所有物であり、夫個人の財産と同一ではありません。原則として、夫が保有する株式や会社に対する貸付金などを通じて評価することになります。

年金分割は通常の財産分与とは別の制度

厚生年金については、預貯金のように現在の金額を計算して分けるのではなく、年金分割の制度を利用します。

年金分割の対象となるのは、原則として婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録です。夫が厚生年金に加入し、妻が第3号被保険者であった期間については、一定の要件のもとで2分の1に分割する3号分割を利用できる場合があります。

財産分与について合意しただけでは年金分割の手続が完了するわけではないため、年金事務所等で別途請求手続を行う必要があります。

財産分与では基準時と評価時にも注意する

原則として別居時の財産を基準とすることが多い

財産分与では、夫婦が共同して財産を形成する関係が終了した時点を基準として、対象財産を確定します。実務上は、別居時が基準となることが一般的です。

もっとも、単身赴任や家庭内別居などでは、形式的に別居しているだけで経済的協力関係が続いていることもあります。反対に、同居していても家計が完全に分離されている場合があります。

そのため、単に住所が別になった日だけではなく、夫婦の経済的協力関係が実質的にいつ終了したのかを検討する必要があります。

財産の評価は別居時の価格とは限らない

対象財産を確定する時点と、その財産をいくらと評価するかの時点は、必ずしも同じではありません。

例えば、別居時に存在していた不動産について、離婚時又は財産分与時の時価で評価することがあります。株式や投資信託も価格が大きく変動するため、どの時点の価格を採用するかが争点となることがあります。

不動産査定書、証券会社の取引明細、保険会社の解約返戻金証明書など、客観的な評価資料を準備することが重要です。

財産分与を請求できる期間

離婚と同時に財産分与を取り決めることも、離婚後に請求することもできます。話合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に財産分与請求調停を申し立て、調停が不成立となれば審判で判断を求めます。

2026年4月1日以降に離婚した場合、家庭裁判所に財産分与を求められる期間は、離婚した日の翌日から5年間です。

一方、2026年4月1日より前に離婚した場合は、原則として離婚した日の翌日から2年間となります。改正前に離婚した方の請求期間が一律に5年へ延長されたわけではないため、注意が必要です。

財産の調査や評価には時間がかかることがあります。「離婚してから考えればよい」と先送りせず、できる限り離婚前から準備を始めることが大切です。

専業主婦だからといって財産分与を諦める必要はありません

専業主婦であっても、家事や育児を通じて家庭を支えてきたことは、財産形成への重要な貢献です。婚姻中に夫婦の協力によって形成・維持された財産については、原則として2分の1の割合による財産分与を受けることができます。

ただし、受け取れるのは「夫名義の財産すべての半分」ではありません。夫婦双方の財産と負債を確認し、婚姻前財産や相続・贈与財産を区別したうえで、評価額、退職金、非上場株式、寄与割合などを検討する必要があります。

特に高収入の夫との離婚では、財産の種類が多く、会社や親族との資金移動があるなど、財産の全体像を把握すること自体が難しい場合があります。離婚を切り出した後に資料を確認できなくなることもあるため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

P&M法律事務所では、財産分与をはじめとする離婚問題についてご相談をお受けしています。専業主婦で財産関係を把握できていない方や、高収入・多資産の夫との離婚を検討している方も、まずはP&M法律事務所へご相談ください。初回相談は無料です。

関連記事

この記事の監修者
P&M法律事務所 代表弁護士 林本悠希

P&M法律事務所
代表弁護士 林本 悠希

大阪大学高等司法研究科卒業後、事務所経験を経て独立し、P&M法律事務所を立ち上げる。メディア出演経験あり。

「ご依頼者様の利益を常に考え、最善の解決をご提案します。」

目次