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休業損害証明書とは? ~作成方法から提出まで~

 交通事故は予期せぬ瞬間に起こり、多くの場合、被害者は精神的なショックだけでなく、物理的なダメージも受けます。さらに、事故による休業が生じた場合、経済的な影響も非常に大きくなります。
 このような状況で重要になるのが、休業損害証明書です。休業損害証明書は、事故による休業により経済的な損害があったことを証明し、適切な補償を受けるための重要な書類となります。
 本記事では、休業損害証明書の作成方法から、提出までについて説明します。この記事を読んでいただいた方が、適切な補償を確実に受けられることの一助となりましたら幸いです。

 下記では、事故による休業損害証明書に関して、基本的な知識と作成方法から提出までの重要ポイントを解説していきます。

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目次

休業損害証明書とは?

 休業損害証明書は、給与所得者が交通事故などの不慮の事故によって仕事を休む必要が生じた際、その休業による経済的損失を証明するための重要な書類です。
 例えば、損害賠償請求の際に保険会社や加害者に提出することで、自身の損害を証明し、適切な補償を受けるための根拠として使用されます。事故により仕事を休んだ日数やその期間の給与の損失に関して記載され、補償計算の基礎となります。
 休業損害証明書を作成する人は、基本的には給与所得者で、自営業やフリーランスの場合は、別の方法で休業を示す必要があります

休業損害証明書の書き方

 休業損害証明書の用紙は、損害を請求する保険会社からもらうことができます。そして、それを勤務先に持っていき、作成を依頼することになります。 
 正社員・アルバイト・パート等雇用形態に関係なく、基本的には職場に書いてもらうことになるため、自分で作成する必要はありません。
 入手できていない場合は保険会社に連絡して送ってもらうか、下記のような保険会社のWebサイトでも入手することができます。

ソニー損害保険株式会社、「休業損害証明書の書き方・雛形(例文)」、休業損害証明書の書き方・雛型(例文)|自動車保険はソニー損保 (sonysonpo.co.jp)(参照2024-04-16)

 休業損害証明書に記載してもらう内容は、自身の収入と事故前の給与、休業した日数等になります。休業損害証明書には書き方のひな形が同封されていることが多いので、保険会社の指示に従って記入してもらってください。
また、直近の給与を示すため、事故の前年の源泉徴収票の添付を求められますので、それも準備しておきましょう。

休業損害の考え方

 休業損害に記載していれば、その日が休業損害として必ず請求できるというわけではありませんので注意が必要です。
 極端な例を挙げると、交通事故による怪我治療のための通院さえすれば、何度でも仕事を休んでもその全日程の休業損害が認められるか、というとそうではありません。
 通院の必要性を医師から診断してもらい、それを医療記録等に残してもらって初めて休業損害としての請求が成り立つことになります。

休業損害が認められる場合

 上記で述べた通り、休業損害が認められる場合は、被害者が交通事故などの理由で仕事を休む必要がある場合に適用されます。休業損害が認められる場合は、具体的には下記のような条件がそろっている場合です。

医師の診断

 事故による怪我や病状が原因で仕事を休む必要があることが医師によって診断されている必要があります。診断書や治療記録がこの証明には不可欠です。

勤務不能の証明

 被害者が実際に仕事を休んだ日数について、勤務先からの証明が必要です。被害者が勤務予定だったにもかかわらず、事故の影響で出勤できなかったことが明記されています。また、仮に休業した期間の給与がすべて支払われている場合、当然ながら損害はありません。

収入減少の証明

 事故により収入が減少したことを証明する必要があります。これは源泉徴収票や給与明細、職種や業界によっては売上の記録等によって示されることがあります。しかしながら、年次有給休暇を取得した場合、収入が減っていなくても、その日数分が損害となります。

勤務先が休業損害証明書を作成してくれない場合

 事故による休業が法的な損害賠償の対象となり得ること、そしてその証明書がないと適切な補償が受けられない可能性があることを明確に伝えると良いでしょう。
 または、勤務先が証明書作成の手順や必要情報を理解していない可能性もあります。自ら必要な情報を集め、証明書のひな形や必要事項を準備して提供することが有効です。これにより、勤務先が証明書を作成する手間を減らすことができます。
 万が一、勤務先が証明書を作成してくれない場合は、休業期間中の勤務状況を示す他の文書(出勤簿、給与明細、電子メールのやり取りなど)を利用して、休業事実を間接的に証明する方法も考えられます。これらの文書も、保険会社や裁判所に提出する際の有力な証拠となり得ますが、原則は休業損害証明書が求められます。このような場合は、弁護士に一度相談してみましょう。

休業損害で支払われる額

 休業した日が休業損害であるとして認められた場合、実際に支払われる額については、自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準の3基準による計算方法があります。
 前2つは既に決まっている金額をもとにした基準であるため、実質賃金が高額な場合などには、実際の損害額と異なることになります。
 最も現実に近いのは、裁判所基準である
    給与日額×休業日数
※自営業の場合は、給与日額が、前年の1日当たりの収入額となります。
です。

 保険会社に請求する場合には上記3基準のどれで計算されているのか、自身が受ける支払額がどのようになっているか、確認してみましょう。
 また、弁護士に依頼することで、保険会社と交渉するなどする手間を省くことができます。弁護士へ依頼することを検討してみるのも一つです。

弁護士に依頼する場合

 休業損害証明書は、勤務先が基本的に客観的な事実をしっかりと記載してもらうことが大切です。勤務先が作成を承諾してくれるのであれば、自分で作成を依頼するだけであるため、弁護士に依頼したり、特に弁護士を通す必要はありません。
 しかしながら、適切な賠償額の算出が困難な場合、例えば休業損害だけでなく、将来の収入損失、治療費、精神的な損害など、損害賠償の範囲が広い場合、弁護士に依頼することで、適切な賠償額の請求のサポートを受けることができます。

おわりに

 交通事故に遭遇した際は、その補償を受けるために、速やかに医師の診断を受け、勤務先から休業損害証明書を取得することが必要になります。不明点がある場合や、保険会社からの補償が不十分だと感じた場合は、専門家に相談してみましょう。

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