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遺言書を弁護士に依頼するメリットは?費用相場や注意点を紹介

 遺言書の作成にあたって、弁護士に依頼を考えている方も少なくないでしょう。遺言書の作成は、一般の方でも可能ですが内容が複雑なため、不備があると遺言書としての効力を失う可能性があります。 本記事を読むことで、司法書士や行政書士に依頼するよりも弁護士へ依頼するほうがよい理由や、依頼するときの費用相場などがわかります。遺言書の作成を考えている方、依頼先に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

そもそも遺言書とは?

 遺言書とは、故人の財産を誰にどのように分配するかを定めて書き記したものです。財産を持っている人が亡くなった場合、その財産は家族や親族など法律で定められた人に遺産として分配されます。
 どのように分配するかは、相続をする権利がある人全員で話し合って決めなくてはなりません。これを「遺産分割協議」といいます。遺産を分配するには、遺産分割協議で相続する権利を持つ全員の同意が必要です。仮に誰かひとりでも不公平だと感じて協議内容に同意しない場合、トラブルになり話し合いが進まなくなってしまいます。
 そこで大切になるのが遺言書の存在です。遺言書には誰にどの程度の割合で財産を分配するかが記載されているため、これにしたがって財産を分配することでスムーズに遺産相続手続きを進められます。
 遺言書には法的な効力があるため、法律で定められている分配の割合(法定相続分)よりも遺言書に記されている内容が優先されます。たとえば、法定相続分では亡くなった方の配偶者が遺産の2分の1を受け取ることが定められていますが、遺言書の内容次第ではこの割合を変更できます。
 遺言書と似たようなものとして「遺書」があります。遺書は故人の気持ちを書き記したもので、法的な効力はありません。ただし、遺言書として扱われる要件を満たしていれば、遺書であっても法的効力を持つ場合があります。
 遺言書の書き方は民法によって定められており、民法で定められた要件を満たして作成していないものは遺言書として認められず、無効になる場合があります。
 いざ相続手続きを行うときに、書式の不備で遺言書が無効にならないように、遺言書を作成する際は専門家の支援を受けることをおすすめします。

遺言書の種類

 民法では遺言書として認められる形式を7種類定めています。そのうち、一般的によく用いられる形式として、以下の3種類があります。それぞれ具体的に解説します。

自筆証書遺言

 自筆証書遺言は、故人が亡くなる前に自分で作成した遺言書です。自筆証書遺言と認められるためには、指定の条件を満たしたうえで、自筆で作成しなければなりません。そのため、パソコンで作成したものは無効であることに注意が必要です。
 ただし、2019年に民法が改正され、財産目録についてはパソコンで作成してよいことになりました。また、通帳のコピーや登記簿謄本のコピーなども目録として添付できるようになりました。

自筆証書遺言のメリットは下記のとおりです。

  • 自分だけで作成できる
  • 作成費用がかからない
  • 遺言の内容を秘密にできる

 自筆証書遺言のメリットは、誰の手も借りずに一人で作成するため遺言の内容が他人に知られることがなく、自筆なので作成費用もかからない点です。

 一方で、自筆証書遺言のデメリットは下記のとおりです。

  • 遺言書を紛失する可能性がある
  • 書式に不備があり遺言書が無効になる可能性がある

 自筆証書遺言は、作成した遺言書を自分で保管しなければならないため紛失の心配があったり、内容に不備があっても誰も指摘できないため、遺言書の効力が無効になったりする可能性がある点がデメリットといえるでしょう。不備なく作成したい場合は、行政書士などの専門家のアドバイスを受けながら作成することをおすすめします。

公正証書遺言

 公正証書遺言は、公証人と呼ばれる専門家が作成した遺言書です。公証人とは、過去に裁判官や検察官などの法律実務に携わった経験があり、法務大臣に任命された法律の専門家です。公正証書遺言を作成するには、故人が間違いなく遺言を書いていたことを証明するための証人を2人以上立てることに加え、公証人が作成に立ち会うことが必要です。
 配偶者や子供など、相続の対象になる人は証人として認められないため、一般的には行政書士などの専門家に証人を依頼するケースが多いです。作成した公正証書の原本は公証役場に保管し、正本は本人が保管することとなります。

公正証書遺言のメリットは下記のとおりです。

  • 正確性の高さ
  • 紛失や改ざんの心配が無いこと
  • 検認が不要

 公正証書遺言は、公証人の立ち会いのもと作成されるため、透明性が高く内容に不備もありません。原本は公証役場に保管されるため紛失したり改ざんされたりするリスクもありません。また、公正証書遺言は検認作業が不要な点もメリットです。
 遺言書は相続の手続きを行う際に開封しますが、封印された遺言書を勝手に開封すると罰せられる可能性があるため、家庭裁判所で相続人立ち会いのもとで開封しなければなりません。これを検認といいます。公正証書遺言は、作成時に透明性が高い方法で作成されており、改ざんの心配がないため検認作業が不要とされています、

 一方で、公正証書遺言のデメリットとしては下記のとおりです。

  • 財産の額に応じて作成費用が必要
  • 遺言の内容を立会人に知られる
  • 証人を用意する手間がかかる

 公正証書遺言は専門家に依頼が必要となるため、作成費用がかかります。また、透明性を確保する都合上、遺言書の内容が立会人に知られてしまう点が気になる人もいるでしょう。証人も2人以上立てなければならないため、手間がかかる点もデメリットといえます。行政書士事務所によっては、行政書士に証人をお願いできる場合もあるため、証人を立てる事が難しい場合は検討してみるとよいでしょう。

秘密証書遺言

 秘密証書遺言は、公証人と2人以上の証人に遺言状を作ったということを証明してもらう方法です。

 この方法のメリットは下記のとおりです。

  • 遺言を作成したことが証拠に残る
  • 改ざんの心配が無い
  • 遺言の内容が他人に知られない

秘密証書遺言では、遺言書の内容は本人しか知らないため、他人に知られることがなく秘密が保たれます。第三者の立ち会いのもとで作成されるため改ざんされる心配もありません。

 一方で、秘密証書遺言のデメリットは下記のとおりです。

  • 公証役場の手数料がかかる
  • 紛失する可能性がある
  • 不備があると遺言が無効になる可能性がある

 第三者の立ち会いがあるとはいえ、その中身までは確認しないため、内容に不備があっても指摘を受けられません。遺言書としての要件が満たされていない場合は、無効になる可能性がある点に注意が必要です。

遺言書の作成を弁護士に依頼するメリット

 遺言書は自分だけで作成できますが、費用などがかからないぶん、リスクがあることも忘れてはなりません。ここでは、弁護士などの専門家に作成を依頼するメリットについて説明します。

有効要件を満たした遺言書の作成ができる

 遺言書の書式や記載すべき内容は民法で定められています。この定められた内容を満たしていない遺言書は、法的な効力を失い無効となります。弁護士や行政書士は法律の専門家ですから、こういった書類の作成に精通しています。
 万が一、そのときになって遺言書が無効になってしまわないように、できるだけ専門家のアドバイスを受けながら作成することが望ましいといえるでしょう。

どのような遺言書を作成するべきかを相談できる

 遺言書の書式は7種類あり、本人の置かれた状況によっても作成すべき遺言書の書式は異なります。たとえば、莫大な遺産があることを知られると、相続人の中でトラブルになることも考えられます。こういった場合、内容が他人に知られない方法で遺言書を作成すべきです。
 専門家に相談することで、最適な方法で遺言書を作成できるためトラブルを防ぐことにもつながり、遺言書の内容も不備なく作成できるでしょう。

相続財産が正しく把握できる

 遺言書には誰にどの程度の財産を分割するかを記載しますが、そのためには全財産の状況を把握しなければなりません。弁護士に依頼することで、分けられる財産がどの程度あるのかを正しく把握できます。
 たとえば、財産と呼ばれるものには金銭以外にも、土地や建物などの不動産も含まれます。しかし、不動産は簡単に分けられないため、相続のときにトラブルが起こりがちです。弁護士などの専門家は、財産の調査を行う以外にも、分割が難しい財産についての分け方のアドバイスを行えます。

遺言書の保管ができる

 基本的に、遺言書を作成してからすぐに使用することになるケースは少ないでしょう。とくに近年では終活などの言葉も生まれているように、まだ元気なうちから遺言書を作成するケースも増加しています。
 実際に遺言書の内容を確認することになるのは、作成してから長い年月が経過してからになるため、遺言書をどこに保管したか忘れてしまうこともあります。
 弁護士に相談することで、遺言書の作成から保管、死後の手続きまですべてワンストップで依頼できるため、紛失してしまう心配がありません。

遺言執行者としての依頼もできる

 弁護士は相続手続きを行う遺言執行者の役割を担えます。弁護士ではなくとも遺言執行者に指定された相続人であれば相続手続きを行えますが、専門的な知識が必要になる場合も多々あり、仕事などの日常生活を送りながら、手続きのたびに相続人全員の押印や署名をもらうなどの作業は大変な手間がかかります。
 このような理由から、専門的な知識と経験のある弁護士に遺言執行者の役割を依頼しておくことで、相続手続きをスムーズに進められるようになるため、遺言を作成した時点で同時に依頼しておくことをおすすめします。

相続時のトラブルにも対応してくれる

 遺言書を作成する際は、相続時のトラブルを最大限に想定して作成しますが、それでもなおトラブルが発生してしまうことが少なくありません。最悪の場合、訴訟となるケースも想定されますが、弁護士ならば本人の代わりに代人として裁判を行えます。行政書士は訴訟で代理人とはなれないため注意が必要です。

遺言書の作成を弁護士に依頼する際の費用相場

 遺言書の作成や保管などについて、弁護士に依頼した場合の費用相場は下記のとおりです。

相談費用

 遺言書の作成について相談した際の費用です。相談費用は事務所によって異なりますが、30分5,000円程度の場合が多いです。初回の相談は無料としている事務所も多くあるため、そういった事務所を探して気軽に相談してみましょう。

遺言書作成費用

 自筆証書遺言を作成する場合は、必要書類を取得するための費用が発生します。

  • 住民票や戸籍謄本
  • 不動産の全部事項証明書
  • 証券口座の取引履歴報告書

など

これらの書類の取り寄せ費用や発行費用が、相続人の数だけ必要となります。
公正証書遺言を作成する場合は、上記の取得費用のほかに公証役場の手数料がかかります。

手数料の内訳は次のとおりです。

・基本手数料

・財産加算…財産総額が1億円以下のときのみ11,000円加算されます

・遺言の枚数分の用紙代…数千円程度

基本手数料は、遺言書で遺産を渡す相手ごとに、いくら渡すかによって異なります。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11.000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

たとえば、遺言書で長男に600万円、長女に300万円を相続させる場合、基本手数料は次のようになります。

基本手数料=17,000(長男分)+11,000円(長女)=28,000円

遺産総額ではなく、渡す相手ごとに、渡す金額に該当する手数料を算出する点に注意が必要です。

遺言書保管費用

2020年7月10日から、法務局に遺言書の保管を依頼できるようになりました。法務局に遺言書を保管してもらう場合は、遺言書1通あたり3,900円の費用が発生します。

遺言執行に関する費用

 遺言執行とは、遺言者の死後の相続手続きのことを指します。遺言執行をする人のことを遺言執行者といい、遺言執行者は遺言状のなかで指定するほか、弁護士を指定することもできます。
 弁護士に遺言執行者を依頼した場合、事務所にもよりますが最低報酬として30万円〜100万円程度、遺産総額の0.5%〜2%程度の報酬が設定されていることが多いです。

その他の費用

 公正証書遺言や自筆証書遺言の作成のサポートを弁護士に依頼した場合は、20万円〜50万円程度の費用がかかるケースが多いです。

遺言書の作成を「行政書士」や「司法書士」に依頼した場合の違い

 遺言書の作成は弁護士のほか、行政書士や司法書士に依頼できます。しかし、弁護士以外にはできない行為もあるため、確認しておきましょう。

行政書士

 行政書士に遺言書の作成を依頼した場合、費用的には弁護士よりも安く作成できます。ただし、相続時に紛争やトラブルが起きた場合、行政書士は調停や裁判などができません。

司法書士

 司法書士は登記手続きの代行に強いため、相続財産に不動産が含まれている場合などに、特に専門性を発揮します。認定司法書士の場合は、交渉や調停などの行為ができますが、140万円を超える紛争については弁護士しか対応できません。

遺言書の作成を弁護士に依頼する際の注意点

 遺言書の作成を依頼する場合は、下記の点に注意しながら依頼するとよいでしょう。

相続に関する分野が得意な弁護士に依頼する

 同じ弁護士でも、それぞれ得意としている分野が存在します。相続案件が得意な弁護士もいれば、そうでない弁護士もいます。無料相談を活用して、なるべく相続分野の案件が得意な弁護士を探しましょう。

相続に関する問題の実績があるかを確認する

 相続に関する問題への対応実績や弁護士を経験した年数、相続関連の著作を執筆しているかなどを確認しておくとよいでしょう。相続問題は複雑であり、トラブルの予防や対策には豊富な経験が必要です。

費用の確認をする

  弁護士事務所によって、費用は異なります。多くの事務所では初回相談を無料で行っているため、こうしたサービスを利用して詳細を聞いてみるとよいでしょう。

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