メンズエステとは? ~今起きている、メンズエステを巡る法的問題~
メンズエステとは何か
メンズエステの定義は曖昧なので、なんとも言い難いところはありますが、一応、個室で行われる、女性から男性への、性的サービスを伴わないマッサージ行為となるかと思います。
ただ、その実態は、性的なサービスを伴うことが多いようです。
もちろん、そのほとんどは、風営法上の届出をしていない違法な店舗です。
いつ頃から流行り始めたのか?
正確なところは不明ですが、新型コロナウイルスが流行しだした2020年頃から、より増えはじめたものと思われます。
なぜ流行り始めたのか?
流行の理由はいくつかあると思いますが、セラピスト側の視点でいうと、まずは報酬面が良い、そして、キャバクラや風俗と比較すれば、個室での単体の客との軽度の接触なので感染症のリスクが少ないと考えられる、また、精神的にも比較的負担が少ない、知り合いへの露見の可能性が少ないというところかと思います。
また、客側からしても、風俗ほど高額ではないことが多いこと、基本はマッサージなので肉体的負担を伴わないこと、マンション型がほとんどであり、秘密裏に気軽に遊べること等が、誘因になっているのだと思われます。
メンズエステの実態
女性と男性客の間で性的サービスが行われているのかですが、データをとっているわけではありませんので、なんとも言えませんが、性的サービスが常態化している店舗、セラピストがいるときくことはあります。
どんな被害が起きているのか?
これによる被害ですが、1つは、メンズエステは表向きは性的サービスがないという風にうたっていますから、それを知らずにセラピストになった女性が、1回目の施術で客から性的サービスを求められ、性被害に遭うということがあげられます。
モラルのない客から過剰な性的サービスを求められ、性被害に遭うというケースも多いです。
また、逆に、美人局のようなことも発生しているとききます。つまり、性的サービスがないとうたっている派遣型のメンズエステ等で、実際に、性的接触はしないという誓約書を書かせておきながら、セラピストの側から性的接触をし、客をその気にさせて、後からセラピスト側がその気はなかったといい、店側が客に違約金を請求するような事案です。
私もこのようなご相談を過去に受けましたが、支払うべきか否かでいうと非常に悩ましいところです。もちろん、法律的には、店側の主張はおかしいわけですが、実際密室での話しですから、警察がどのように動くかはわかりません。また、万が一逮捕されるようなことがあれば、仮にその先で不起訴等になっても、当人に与える社会的不利益は甚大です。
非常に難しい問題と思います。
メンズエステを巡る規制と、今後のあり方について
業態として多い、マンション型のメンズエステが風営法に引っかかるかどうかは、結局のところ、「当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」にあたるかどうかです。これに当たるなら、当然届出は必要ですし、そもそも届出が必要な営業にあたれば、マンションの個室でメンズエステを営むことは出来ません。
個別具体的な判断にはなりますが、実際のところ、「当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業」に該当するメンズエステは多いと思われます。
事実上、グレーな状態で営まれていることが、前述のような被害を生んでいますので、ここは、しっかりと、行政なりが取り締まりの基準を示して、事業者や顧客に示すべきと思いますし、原状では、客側としても、トラブルに巻き込まれないよう、風営法上の届出を出している派遣型のメンズエステを利用するのが1番安全ではあると思います。
まとめ
本記事では、メンズエステを巡る法的問題について、弁護士の林本が解説しました。セラピストとして被害にあわれた方、客として、セラピスト側から不当な要求を受けている方がおられましたら、是非、P&M法律事務所へご相談ください。