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弁護士に相談するときに大切なこと ~「経済的合理性」と「感情的清算」について~

弁護士に相談するときに大切なこと ~「経済的合理性」と「感情的清算」について~

こんにちは。P&M法律事務所の林本です。

法律トラブルを抱えて弁護士に相談される方は、「何とかしてこの問題を解決したい」という思いで来られます。

ただ、実際にお話をお聞きしていると、依頼者の方が本当に求めているものは人それぞれです。

そして私は、依頼者の方のご希望は大きく分けると

「経済的合理性」

「感情的清算」

の二つに分類できることが多いと考えています。

少し難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、弁護士に依頼するときには非常に大切な考え方です。

目次

「経済的合理性」とは?

経済的合理性とは、簡単に言えば

「できるだけ有利な結果を得たい」

という考え方です。

例えば、

  • 慰謝料を受け取りたい
  • 未払い残業代を回収したい
  • 財産分与で適正な取り分を確保したい
  • 貸したお金を返してほしい
  • 相続財産をきちんと取得したい

といったご希望です。

お金そのものだけではなく、不動産や財産なども含めて、「経済的な利益を実現したい」という考え方ですね。

弁護士に相談される方の多くは、当然ながらこの経済的合理性を求めています。

「感情的清算」とは?

一方で、法律問題はお金だけではありません。

むしろ、多くの方はお金以外の部分にも強い思いを抱えています。

例えば、

  • きちんと謝罪してほしい
  • 自分が受けた苦しみを理解してほしい
  • 二度と関わらないと約束してほしい
  • 自分の言い分を認めてほしい

といったお気持ちです。

私はこれを「感情的清算」と呼んでいます。

法律問題の背景には、人間関係のトラブルや裏切り、怒り、悲しみがあることも少なくありません。

そのため、「お金さえもらえればそれでいい」という方ばかりではないのです。

経済的合理性と感情的清算はぶつかることがある

ここがとても重要なポイントです。

依頼者としては、

「お金も欲しいし、謝罪もしてほしい」

と思われるのが自然です。

しかし現実の交渉では、経済的合理性と感情的清算が必ずしも両立しないことがあります。

不貞慰謝料請求を例に考えてみる

例えば不貞慰謝料請求のケースです。

相手方が

「慰謝料300万円は支払います」

と言っている一方で、

「謝罪文は書きません」

「接触禁止条項には応じません」

という態度を取ることがあります。

法的には慰謝料を支払う義務はあっても、謝罪や接近禁止まで義務付けられるケースは多くありません。

すると、

300万円を受け取って早期解決するのか。

それとも謝罪や接触禁止を求めて交渉を続けるのか。

という選択を迫られることがあります。

悪いことをしているのになぜ?と思われるかもしれませんが、弁護士が間に介入する以上、基本的には、法律論の話にしかなりません。法律論の話とは、つまり、法的に義務があるかないか、の話です。

慰謝料を払うのは法的な義務があるからです。では謝罪は義務でしょうか。社会的な常識からすれば義務ではありますが、法的には、慰謝料=謝罪なので、慰謝料以外の謝罪は必ずしも義務づけることは出来ないのです。

でもやっぱり謝罪してほしい、ということなら、相手がそれに無条件で応じるならよいですが、応じない場合は、それに応じさせるための対価を用意する必要があります。典型的なのが、慰謝料の減額等です。こっちの請求額は200万円だけども、謝罪するなら150万円にする、そういうやり取りが、どうしても必要になってくる場面というのはあるわけです。

しかし、例えば相手が示談で終わらせたいと強く望んでいる場合は、慰謝料の減額がなくとも、謝罪くらいするかもしれません。そういう背景事情、パワーバランス、そういうものを見ながら経済的合理性と感情的清算のバランスを取っていく、これが交渉なのです。

裁判になれば全て解決するとは限らない

相手がこちらの条件に応じないなら「裁判をすればいいのでは?」と思われるかもしれません。

もちろん裁判という選択肢は常にあります。

ただ、裁判所が判断するのは主に法的権利です。

慰謝料の支払いについては判断できますが、

  • 心から謝罪しなさい
  • 反省しなさい
  • 誠意を見せなさい

という、法的義務がないことまでは命じません。

つまり、感情的清算を求めて裁判をしても、その希望が実現するとは限らない、というかむしろ、実現しないことが多いのです。

だからこそ、弁護士に相談するときには、

「自分は何を一番実現したいのか」

を考えてみていただきたいのです。

  • 慰謝料を最大限取りたいのか。
  • 早く終わらせたいのか。
  • 謝罪を求めたいのか。
  • 二度と関わらないと約束してほしいのか。

もちろん途中で考えが変わることもあります。

しかし、最初の段階である程度整理しておくことで、弁護士も適切な方針を提案しやすくなります。

良い弁護士は「見通し」を説明してくれる

経験のある弁護士ほど、

「それは実現できそうです」

「それは難しいかもしれません」

「実現するためにはこういう条件が必要です」

という見通しを丁寧に説明します。

依頼者の希望をそのまま聞くだけではなく、経済的合理性と感情的清算のバランスを見ながら、どこまで実現できそうかを一緒に考え、出来ること・出来ないことを明確に、論理的に、法律の知識や経験がない方にも分かるように説明することが弁護士の役割だと思っています。

まとめ

弁護士に相談するときに大切なのは、「勝てるかどうか」だけではありません。

自分が求めているものが、

  • 経済的合理性なのか。
  • 感情的清算なのか。
  • あるいは、その両方なのか。

それを整理したうえで弁護士と方針を話し合うことが、納得できる解決への第一歩になります。

ここのすりあわせが不十分だと、弁護士の方針への不満が生まれ、納得のいかない解決への合意を迫られたり、弁護士を変えることになって着手金が無駄になることもあるでしょう。

ですから、弁護士に依頼する際には、誰にでも、絶対に必要なすりあわせといえます。

P&M法律事務所では、単に法律上の結論だけではなく、依頼者の方が本当に求めている解決は何なのかを大切にしながら、ご相談をお受けしています。

法律問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

P&M法律事務所
代表弁護士 林本 悠希

大阪大学高等司法研究科卒業後、事務所経験を経て独立し、P&M法律事務所を立ち上げる。メディア出演経験あり。

「ご依頼者様の利益を常に考え、最善の解決をご提案します。」

この記事を書いた人

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